ビッグデータから熱中症を考える まとめ
これまでこのコラムでは、過去10年分の熱中症の搬送件数を集計し、いくつかの視点から分析した結果を紹介してきました。
この解析を始めた1つのきっかけは、我が国における熱中症予防を目的としたガイドラインは、月や地域差は考慮されず画一的だけれども、気候が各月や地域で異なるように、熱中症の搬送件数も月や地域で異なるのではないかと考えたからです。
例えば6月は、熱中症(軽症)の搬送件数のピークが7月と8月と比べて低いところで出現していることを紹介しました。また、7、8月は重症や死亡の搬送件数のピークが、WBGTの高いところで出現しているのに対し、6月はWBGTの低いところと高いところの2つで出現することを紹介しました。
これらのことは、月によって熱中症の発生傾向が異なることを意味していると考えられます。
これから春を迎え、気温が徐々に上昇するにつれて熱中症の発症の危険率は高まります。本コラムでは、熱中症の搬送件数の分析に加え、具体的な暑さ対策の方法や、その生理学的な意義についても紹介させていただきました。
本コラムの情報が、皆様のスポーツ活動時における暑さ対策の実践に少しでもお役にたてば幸いです。
株式会社ウェザーニューズ スポーツ気象チーム
中村大輔
【イメージ写真】
こちらからお借りしました
https://www.photo-ac.com/main/detail/899912