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脱水の評価⑤

尿を用いた脱水の評価(1)

はじめに

 体重の変化と同様に、尿を利用して身体の脱水レベルをチェックすることができます。尿を用いた脱水レベルの評価には「尿比重」「尿浸透圧」「尿の色」を用いた方法がありますが、尿浸透圧はスポーツ現場で簡便に測定することは難しいので、ここでは尿比重と尿の色を用いた方法を紹介します。
 尿比重は尿中の水分と固形成分の比率のことで、水分摂取量、腎機能、尿酸、糖、タンパクなどの影響で変化します。基本的には体水分状態が正常である際の尿比重は1.020以下で、薄い黄色をしています。

尿比重の測り方と評価

尿比重の測定

 スポーツ現場で尿比重を測定する方法は、「尿比重計の利用」「試験紙を用いた測定」「分析機関への提出」「目視」の4種類が主な方法です。
 分析機関への依頼は、日々計測することや結果のフィードバック、コスト面などを考えると難しい面が多くあります。尿比重計測試験紙を用いた測定も同様に、継続的に試験紙を購入しなければならないコスト面の問題があります。
 それに比べて尿比重計は初期の購入費用が掛かりますが、即時に誰でも簡単に測定を行うことが可能です。また目視による判定は、尿比重をArmstrongの指標を用いて尿の色から判断します。目視での判断となるので、トイレの目につきやすい場所に評価表を配置しておくことで、即座に判定できます。

尿比重を測定するタイミングと変動要因

 尿比重の測定は起床時に行うのがよいでしょう。起床時の体重の変動と同じように、測定条件が最も安定しするからです。
 一方、運動前など起床時以外のタイミングで尿比重を測定する場合には、その解釈に注意が必要です。起床時以外のタイミングでは、起床後の飲水や食事内容などの影響が尿比重の値に影響を与えるからです。

次回は、尿比重の評価基準についてです。

参考文献
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こちらからお借りしました
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