熱中症関連

実践的な暑さ対策について②

水分補給について

  • 自身の脱水量を知ることが大事
  • 水分は適度に冷やしたものを小まめに摂取
  • 体重の2%を目安として運動前・運動中・休息時間を合わせた事前の水分摂取を計画

暑い環境下で運動を行うと発汗によって体重が減少します。1回の運動による体重減少量は体水分量の減少、つまり発汗による脱水と考えて良いので、運動前後の体重を量ることは効果的な水分補給を行う際の重要な手がかりとなります。
脱水が体重の2%までであれば著しい体温上昇の心配はありませんが、それ以降1%の脱水につき、直腸温の約0.3℃の上昇と心拍数の増加(約10拍/分)が引き起こされます。つまり脱水の程度が大きくなると、運動パフォーマンスが低下するリスクが高くなります。
具体的には2%の脱水で持久性パフォーマンスの低下、3%以上の脱水で瞬発的なパフォーマンス発揮の指標となるジャンプ力も低下すると言われています。

一方、最近の脱水とパフォーマンスに関する総説では、良くトレーニングされている人とそうではない人では脱水によるパフォーマンス発揮への影響が違うことが指摘されていますが、基本的には暑さの中においては、運動の継続や体温調節に脱水は不利に働くと考えておくべきです。

ですから、パフォーマンス発揮の観点からも自身の健康を守る意味においても適切な水分補給を行い、脱水状態でスポーツや身体活動を行わないようにする事が大事です。

次に飲料の成分や温度について紹介します。
発汗によって失われた電解質を補給するためには、スポーツドリンクが有効です。
スポーツドリンクには糖質やナトリウムが含まれていますが、その成分の目安は糖質であれば、3~8%(3~8g/100ml)、電解質(ナトリウム)は40~80㎎ /100ml程度(0.1 ~ 0.2% の食塩水に相当)が目安になります。経口補水液はこれより少し塩分濃度が高く、0.3%弱の食塩濃度です。
また、糖質が入った飲料の吸収速度は5℃から15℃程度で摂取した方が25℃以上の場合ではその吸収に違いがあることがわかっています。
水分補給によって得られる気分的な爽快感や適切な量を摂取するという点においても、腹痛が起こりやすいなどの問題がなければ冷やして飲んだ方が効果的です。

一度に飲む水分の量ですが、研究では500mlの糖質飲料を摂取した15分後に、200〜250ml程度が吸収されずに胃の中に残っていたことが報告されています。
個人差は当然ありますが、10分で150ml程度を目安として適切な量を探してみてください。運動中にお腹のふくれる感じや不快感がなければ良いと思います。
また、運動中はどうしても摂取が難しい場合がありますので、運動前や休息時間と合わせた水分摂取計画を事前に立てることをお勧めします。
その際に運動前後の脱水量(体重減少量)がわかっていればその量を上記のタイミング全体で摂取することからはじめ、わからなければ体重の2%を目安に事前に計算を行い、摂取する方法から行ってください。
運動後に体重の減少が2%までに抑えられていれば、まずは良いと思います。そこからは微調整を行って自身にあった摂取方法を探ってみましょう。なお、一般的な紙コップが150mlですので、この量を参考にしてみてください。

次回は、運動中のそれぞれのタイミングにおける水分摂取の考え方を紹介します。

参考文献
Mohr M et al.,
Heat stress impairs repeated jump ability after competitive elite soccer games.
J Strength Cond Res. 27(3), 683-689, 2013.

Savoie FA et al.,
Effect of Hypohydration on Muscle Endurance, Strength, Anaerobic Power and Capacity and Vertical Jumping Ability: A Meta-Analysis.
Sports Med. 45(8), 1207-1227, 2015.

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