熱中症関連

ヒトの体温調節

〜ヒトの体温調節のポイント〜

  • ヒトの体温は熱産生と熱放散(輻射、伝導、対流、蒸発)のバランスによって決まる
  • ヒトの熱放散が機能するか否かは、環境条件が大きく左右する(高温多湿など)
  • 脱水によって体内の水分が減少すると、運動能力が低下したり、体温が高くなったりするリスクが高まる

私たち人間は、暑くなると汗をかいたり、寒くなると震えたりして、体温を一定に保つ仕組みを備えています。
体温は熱産生(熱が生じること)と熱放散(熱を逃がすこと)の双方のバランスによって決まります。
熱産生は基礎代謝、スポーツや運動、ホルモンの影響、細胞代謝の影響などによる影響を受け、熱放散は輻射、伝導、対流、蒸発によって熱を身体の外に逃がします。

スポーツや運動で使用する筋肉は、そのエネルギー効率が悪く、約20%が筋活動のエネルギーに、残りの80%が熱になります。例えるなら、電球の明かりといったところでしょうか。
明るさの割には電球が熱くなるという具合に、筋肉もその活動によって多くの熱を作り出します。
もし、ヒトに熱放散の仕組みが備わっていなければ、たちまち体温が上がってしまうと言われています。

熱中症の発生要因は先に挙げた通りですが、冬の運動中には熱中症の発生リスクが低いことを考えると、その発生は熱産生の影響ではなくて、熱放散が何らかの理由で影響を受けていることが想像できます。
蒸発による熱放散、つまり発汗(汗をかくこと)は、体温が上昇したときの熱放散機能として、とても重要です。
汗が蒸発するときの気化熱を利用して体温を下げるのですが、この時に問題となるのが周囲の “湿度” です。

湿度が高い環境では汗をかいても蒸発しないので、いわゆる“無効発汗”の量が増え、汗のかき損の状態となり、身体の中の水分量(血液量)は減少します。つまり、脱水です。
脱水は血液量の減少と解釈できるので、そのような状態になると、運動能力(特に持久力)が低下したり、より体温が上昇しやすい状態になってしまいます。これは、お湯を沸かすときに、コップの水が少ない方が早く温まるのと同じ原理です。

一方、湿度だけではなく、外気温も熱放散に影響を与えます。
外気温が体温より高い場合には、熱が体内に入り込みます。熱は温度の高い方から低い方へ移動しますので、外気温が低ければ体温は奪われますが、逆に外気温が高くなると熱が流入することになります。
このように、気温や湿度が高くなると各熱放散機能に影響を与え、結果として体温が上昇してしまうことから考えても、

天気や天候は、我々の体温調節機構、さらに言うと、健康とも密接な関係にあると言えるでしょう。

それでは熱放散が妨げられるような環境では、どのように過ごしたり、運動・スポーツを行ったらいいのでしょうか?
もちろん、気温や湿度が高い時にはその活動自体を見合わせるといったことが必要ですが、必ずしもそうはいかない時があることも十分に考えられます。

そこで皆さんに知ってもらいたいのが“暑さ対策”です。
“暑さ対策“にも様々ありますが、我々は出来るだけ多くの暑さ対策を紹介して、皆さんがオリジナルの”暑さ対策“を実践できるように情報発信して行きたいと考えています。

参考資料
スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック,公益財団法人日本体育協会.
体温 Ⅱ 体温調節システムとその適応,井上芳光,近藤徳彦編,ナップ.

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