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アドバンス 熱中症関連

脱水の評価⑥

尿を用いた脱水の評価(2)

はじめに

 今回は前回に引き続き、具体的な数値による脱水の判断基準と脱水評価の実践についてお話ししたいと思います。

尿比重の判断基準

 尿比重を用いた脱水レベルの判断基準の多くは、尿比重が1.020以上であれば”脱水”、それ以下であれば体水分状態は”正常”と判断されています。また、計測試験紙や目視による判定の場合は、前回紹介したArmstrongの指標を用いて、”4”以上を脱水と判断します。
 脱水状態であることが確認された場合は、対策を取ることが必要です。起床時に脱水レベルを評価することで、練習や試合までに比較的時間に余裕を持って、脱水レベルを回復させるための水分補給を行うことができると思います。
 起床時から練習や試合前までの水分補給に関しては、実践的な暑さ対策について③を参考にしていただければと思います。

脱水評価の実際

 通常、脱水レベルの評価を起床時に行う場合、個人による計測・判断となる可能性が高いのではないでしょうか。ですから、個人でしっかりと体調管理を行うことができるように、本人だけでなく、必要に応じて両親などの保護者に対しても体調管理の重要性や暑さ対策に関する十分な情報提供を行うことも重要でしょう。
 このような取り組みを行うことで、暑熱環境下における暑さ対策の重要性への理解がより深まり、起床時の体調のモニタリングも家族の協力を得てより行い易くなるかもしれません。また、可能であれば脱水レベルのチェックは体重と尿比重の双方の側面から行ない、もし体重の減少が基準より大きく、尿比重も高値であれば、練習前までの水分補給はもちろん、運動後の水分補給に関してもしっかりと注意を払いましょう。

 練習前後での測定では、各個人が体重を記入できるように体重計の側に記録用紙を用意しておくか、パソコンに直接入力するのもよいでしょう。パソコンを用いることで、練習後の値から瞬時に脱水量が計算できますので、水分補給の目安量の把握ができます。(実践的な暑さ対策について③を参照)
 このような脱水レベルの毎日のモニタリングは、夏場の練習効果を高める要因の1つですので、継続して行うことをお勧めします。

参考文献
Cheuvront, SN. et, al. Hydration Assessment of Athletes. Sports Science Exchange, 18 1-12, 2005.

Hydration check.com
http://www.hydrationcheck.com/ucc.php

McDermott, BP. et, al. National Athletic Trainers’ Association Position Statement: Fluid Replacement for the Physically Active. J Athl Train 52, 877-895, 2017.

【イメージ写真】
こちらからお借りしました
https://www.photo-ac.com/main/detail/483871

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