熱中症関連

暑熱順化とは

〜暑熱順化ポイント〜

  • 暑熱順化とは、身体の暑さへの適応(慣れ)を指す
  • 暑熱順化には、体温が上がることや汗をかくことが必要
  • 暑熱順化の効果を高めるためには、栄養面からのアプローチも効果的

暑熱順化とは、人工的に作られた暑い環境で運動を行ったり、気温の高い日に外で運動を行ったりすることによって得ることができる身体の“暑さへの適応”です。

具体的には、汗をかき始める温度が低くなる、同じ運動をしたときの心拍数が下がる、安静時の体温が低下するなど、暑い中でも体温調節が上手くできるような適応が起こることを言います。
順化の効果を大きくするためには、体温が上がることやなるべく多く汗をかくことが大切ですので、同じ運動をするにしても気温の高い日に運動を行った方が順化の効果は大きくなりますし、暑い所にいるだけよりもそのような環境で運動を行った方が効果的です。
運動習慣があまりない人は、運動中にニコニコできる強度のジョギングから初め、運動習慣がある人はいつも通りの運動でも良いかもしれませんが、しかし、無理は禁物です。

運動をした時の汗のかきはじめが早くなったり、心拍数が下がったり、心理的にもその運動が少し楽に感じられるようになったら順化の効果が出始めているサインなのですが、残念ながら今のところ、そのサインを簡易的に把握できる方法はありません。

なお、順化の効果を得るためはおおよそ1週間から10日程度と言われていますが、人工的な順化ではなく自然順化(季節順化)の場合は、その期間の気温の変化にも影響される可能性があります。

発汗(汗をかくこと)や体温の変化(低下)と合わせて、暑熱順化の効果の1つに、血液量の増加があります。このことによって、体内の水分(血液量)が増えて暑い環境でも体温が上がりにくくなるといった効果があります。

ここでポイントとなるのが血液です。

血液が増えるためにはタンパク質が必要ですので、そのタンパク質もしっかりと補給することでより効率的に順化の効果を得ることができます。研究では暑熱順化を目的とした運動の後にタンパク質を摂取することで、摂取しなかった場合と比べてより暑さに強いカラダになれる可能性が指摘されています。このことは、暑さに対する適応を得るためには、栄養面からもアプローチも非常に大切であることを教えてくれています。

気温や湿度が高くなり始める7月に熱中症の発生件数が増加し始める(“熱中症とは”参照)ことは頭に入れておく必要がありそうです。
特に梅雨の合間で気温が高くなる日などは、湿度も上がり、WBGTが高くなる可能性があるので注意が必要です。

従って、運動中はもちろんですが、これまであまり着目されていなかった

  • 運動する前の事前準備(体調管理や水分補給,身体冷却など)
  • 運動後のリカバリー(水分補給、栄養補給、体温をなるべく早く運動していない状態に戻すこと、など)

といった、運動に関わる全てのタイミングで“適切に“暑さ対策”を行なうことが、夏場の体調維持や熱中症の発生リスクを下げるためには重要です。

参考資料
Goto M, et al. Protein and carbohydrate supplementation during 5-day aerobic training enhanced plasma volume expansion and thermoregulatory adaptation in young men.
J Appl Physiol (1985), 109(4):1247-1255, 2010.

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください